飛んだ!ひ・こーき!@森田浩貴の思うまま


アッという間に50なっちゃった( "゚ o゚")ドーシヨ
by kokimix
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【あんた、誰?】
東京都内で歌い手(専門はミュージカル)を営んでいる50前男です。時々司会・通訳もします(^^)
11月20日金曜日中目黒楽屋でライブを行います!みなさま良くご存じのスタンダードばかりを集めたプログラムです。バイオリンも共演!美味しいお料理で評判のお店に、ぜひお越し下さい!!
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カテゴリ:ミュージカル( 59 )


WE WILL ROCK YOU

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* 東芝さんのおかげかな?
新装された新宿コマに観に行ってきました。

入ってみると、内装がまるでアレグリアのテントの中みたい…これは、企業タイアップの賜物で、そこらここらに液晶テレビの画面、パソコン、音楽プレイヤーのディスプレイがしてあり、広告花盛りといったところ。

劇場の座席などは変わらなかったと思ったけど、ロングラン公演の強みで、大幅に舞台を直してある様子でした。

びっくりしたのが、両側のオケ(バンド)ピット。僕はてっきり録音された音楽で上演するものだとばかり思っていたので、バンドが入ると分かってからは期待できると思いました。

いくら「そのうち役者は慣れる」とは言っても、<微妙な間>などは録音では対応できない場合がありますからね。だから、劇団Sの芝居には、うすっぺらな印象があるんだなぁ。(録音を使っている場合)

*ステージ
中身は、ヒット曲のオンパレードながら、上手いことこしらえたストーリーが繋がっていて、僕自身はそんなに違和感はなかったのですが、一緒に見ていた相方(アメリカ人のジョン)が「やっぱりコンサートと演劇は両立しない」と言うような意味のことを言っていたので、「ま、そりゃぁしょうがないんだよ」と諌めておきました。

僕が個人的に好きだったのはキラークイーン。歌が抜群に上手い!と言うか、いい声。と言うか、珍しい声。ほとんど男声の音域を軽々歌う(女声にとってはとてつもなく低いと言う意味です)技術がすばらしい。(「地獄へ道連れ」最高!)

ただ惜しむらくは、滅び方(?)が修まらなくて残念だったこと。ただ、テレビモニターが降りてきて、皆でWE WILL ROCK YOUを合唱するとあっけなく退治されると言うのがどうも…もったいない!

皆で合唱してストーリーを進めるやり方と言うのは、チョッピリ劇団Sの名作劇場を思い出しました。でも、[伝説の楽器]を発掘するシーンで、皆で合唱するときには「む、なんか良いなぁ」とひそかに感動してしまいました。森田って結構単純…やっぱ、クイーンってすごい。フレディもすごい、と再認識。

*許せん、征伐!
僕の隣で観ていた女二人がどうやらリピーターらしく、最初からノリノリで(悪ノリ)時には振付まで踊り始める始末。もう堪忍袋の緒が切れそう…というところで、彼女達は休憩のゴングに救われたが、2幕から相方と席を替わってもらった。

それぐらい彼女達のマナーはヒドい!!!!
音楽にノルのはかまわないが、芝居の最中にベチャクチャしゃべってんじゃねぇーッ!!!!!
殺すぞ、しまいにゃ。(まぁまぁ、落ち着いて… by 天の声)

*コマ劇場の事情
ほかのキャストもなかなか歌自慢が多く、特に主人公を反政府側に引き込むブリトニー役の男優が印象に残った。(一幕終わりで出てこなくなっちゃうけど)アンサンブルもまあまあの出来だったが、あまり踊りが揃っていないのが目に付きました。(特にユニゾンが要求されているシーン)

これには、ある可能性が考えられます。(あくまでも僕の個人的な推測)

新宿コマ劇場および東宝各社のプロダクションは、週11回の公演が一般的です。これは、外国のカンパニーでは到底[考えられない]ことなのです。

普通、どんなに頑張っても週に6~8回が限度(特に、ブロードウェイでは組合の規則で厳しく決まっている)で、それ以上公演するときは[必ず]アンダースタディを用意することになっています。

アンダーを用意すると言うことは、それだけ沢山稽古をする必要が出てくるわけで、役者も覚えることが多くなります。多分、アンサンブルの中に何人かずつ主役級の役のアンダーを受け持つ人がいて、実際アンダーが舞台に立つ機会もあるのではないかと考えます。(実際昨日主役に2番手の役者が登板した)

それに、これは全く日本側の問題なのですが、今コマ劇場でピンをはれる座長(すなわち演歌スター)がいないんですね。せいぜい氷川きよしぐらい。後の人たちは、地方の方々が頑張って、観光バスでお客さんを呼んでいる状態。もうこの状態が何年も続いているのです。

だから、多分方針変更を余儀なくされて、海外ミュージカルの招致という解決策になったのでしょう。ただ、海外作品の招致には莫大な経費がかかります。これを解決しない限り、この方法もその場しのぎで終わってしまうのではないかと言う懸念も残ります。
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♪こーき

by kokimix | 2005-07-08 11:03 | ミュージカル

でとち(出トチ)て、何のことだか分かります?

舞台公演中に、出なくちゃいけない場面で出なかったことを指すのです。
僕は自慢じゃありませんが、これはやったことがありませんが、何回かこの「出トチ」に出くわしたことがあります。

「出島」のことを書いていて、ふと思い出したのですが、僕達書院組のメンバーと座長木の実ナナさんが幕前芝居(中幕が下りていて、その後ろでセットを転換している)をするという段取りのときのこと、僕らには大きい台詞はなく「はい!(元気よく)」とかガヤ(台詞のある人に対して相槌を打つ)とかぐらいしかなかったのですが、ストーリー上出た方が効果があったので、出演することになっていました。

ある役者さんが、キューが近づいても袖に現れません。「あれ?どうしたのかな?」と思っていたのですが、大抵そういう時、役者は駆け込んできて、ギリギリシーンには間に合うということが多いので、そのままにして置きましたが、いざキューになっても姿が見えません。

僕らは仕方なく出ましたが、帰ってくると呆然とした顔で「出トチ」をしてしまった彼が立ち尽くしていて、「ま、お客さんは言われなければ、わからないっちゃわからないよ」と、慰めてるんだかなんだか分からない言葉で、その場は治まりました。


役者さんには2通りいて、自分の出演シーンのすごく前から袖でスタンバイする人と直前にならないと姿を見せない人がいます。

彼はもともとミュージシャンなので、この「舞台の習慣」にはあまり慣れていなかったので、しょうがないのですが。

でも、彼は某舞台作品で座長を務めたこともあったのに(あ、こう言うと誰だかわかっちゃう!)。


ある役者さん(僕がレ・ミゼラブルで長いこと一緒だった人)が、新宿コマ劇場にその後出演したときのこと、大変大きな役であるにも拘らず、この「出トチ」をしてしまいました。
それも3分!その間別の役者さんがアカペラで歌うなど、随分苦労して繋いでくれたそうですが、その後演出家からこっぴどく怒られたそうです。

…劇場始まって以来最長の「出トチ」だと…。

♪こーき

by kokimix | 2005-07-06 10:36 | ミュージカル

音楽劇「出島」のあれこれ

大変仲の良いカンパニーで楽しい思い出が尽きませんが、中でも思い出されるのが長崎公演です。もちろんこの作品がもともと長崎県からの依頼でプロデュースされていることから、長崎で公演するのは当然のことなのですが、「皆で長崎に行く」ということが、いざ現地に着いてみて初めて実感できたのが嬉しかったなぁ。
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修学旅行さながらに、皆で毎晩食べて飲んで大騒ぎ。山本太郎や一色紗英が気さくだったので、平気で一緒に街中にくりだして、時には市民の方に囲まれたり。一度など、雑炊で有名な某お店に行ったときに、紗英が若者達に囲まれてしまって、太郎が彼らを引き付けている間に彼女を脱出させたりしたこともありました。(おーい、マネージャーは??)

ですが、いざ公演になると、現地の皆さんの真剣さ(特に一緒に舞台に上がったコーラス隊のみなさん)に心が熱くなりました。僕は東京で生まれ・育ったので郷土愛というものがありません。せいぜい海外から帰ったとき「あ、東京はやっぱり安心するな」と思う程度です。みなさん長崎を愛しているんだなぁ。それっくらい長崎はよかところですばい。

続いて行った東京、大阪公演も盛り上がり(特に大阪は大フィーバー!)、やっている方としても、大変楽しく務められました。いまだにカンパニーでたまに一緒に飲んだりする機会があるのですが、みんなそれぞれに成長して、会うとあのときの話に花が咲きます(は・ながさき・ます)。

お後がよろしいようで。

♪こーき

by kokimix | 2005-07-05 10:49 | ミュージカル

あぁ、なんてことだ!!ルーサー逝く!

昨日「ザ・ウィズ」を取り上げたのは、虫の知らせだったのでしょうか?

作品中のA brand new dayEverybody's rejoice(魔女の呪いが解けて奴隷達が解放されるシーンの歌)は、昨日54歳の若さでなくなったルーサー・ヴァンドロスのペンによるものなのです。
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この歌は、解放された喜びに満ち溢れていて大好きなナンバーでした。映画では、けっこうセクシーなコンセプトで、皆奴隷の衣装を脱いで半裸状態になり、踊るというシーンになりました。幼い頃見た僕は、前に見たアルビン・エイリー舞踏団のようだと思いました。なんと、ダイアナの側転も見られる…

ルーサーは、他にもバーブラ・ストライザンドやデビッド・ボウイ、ベット・ミドラー、アレサ・フランクリンなどのアレンジ・作曲・共演などしたあと、メジャーデビュー。それ以後、彼自身がミュージカルに携わることはなくなりましたが、僕はいつもお手本にして来ました。

特に彼のフレージング。コブシじゃないですよ、フレージング。フェイクとも言うけど。それと高らかでスムースなテノールヴォイス。突き抜けるようで、反面包み込むような。
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彼は長いこと、高血圧・糖尿病で悩んできました。2003年に脳卒中で倒れ、以後懸命のリハビリが続いていましたが、完治には到らなかったそうです。(ところで長嶋さん、だいじょうぶ?)ルーサーは食べることが大好きで、プロモビデオの撮影のときに、そばにセットととして食べ物がおいてあると、ドンドン食べちゃってスタッフが困った、という話を何かで読みました。

僕もライブで「十時過ぎたら食べるな」とかふざけて言ってますが、カレン・カーペンターの例もあるように、「過ぎたるは及ばざるが如し」で、何事もやりすぎてはダメなのですね。

でも、彼の場合は黒人だったから、と言うのもあるようです。聞く話だと、黒人やラテン系の人々はアジア人より生活習慣病になる確立が高いと言われています。だからと言って、アジア人である日本人がなりにくいとは言い切れません。病気をした者/僕が言うのです、気を付けましょう。
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♪こーき

by kokimix | 2005-07-03 11:51 | ミュージカル

The WIZ

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早い話が、ブラック版「オズの魔法使い」なのだが、白人版に負けず劣らずのすばらしい音楽で、中学生だった僕は完全にKOされました。

すばらしい歌の数々、Home, Ease on down the road, Don't nobody bring me no bad news, Be a lion, Believe in yourselfなど、人生で困ったことがあったときに、必ず励ましてくれる名曲がここにはあります。

舞台も映画も両方見ましたが、舞台の方はアイディアの宝庫で、例えば女性が頭にターバンを巻いて現れ、そのターバンを解いていくことで竜巻を表すとか、マンチキン(最初に出て来る小人たち)をキャスターつきの椅子に載った役者が「ウィー」と言いながら登場したりとか…圧巻は、最後の南の良い魔女:グリンダが登場するとき、上からスイカの形をした玉座に乗って登場するシーン。色っぽくてカッコよかった。

映画もなかなかの出来で、出演陣がダイアナ・ロス(ドロシー)マイケル・ジャクソン(カカシ)、リチャード・プライアー(オズの大王)リナ・ホーン(グリンダ)など。
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中でもリナ・ホーンの名唱は忘れ難い(出番は最後のほんのちょっと)。彼女はこの曲を大層気に入り、自分のワンマンショーLady and her musicでも取り上げ、ラストナンバーとしています。最近見たThat's entertainmentでの美しい姿を思い出します。ちなみに、監督のシドニー・ルメットは彼女の義理の息子に当たるそうです。

映画の残念な所は、ダイアナがドロシーとしては<大人すぎた>こと。舞台でステファニー・ミルズ(オリジナルのドロシー)を見て、やはりドロシーは子供じゃないとね、と思いました。
でも映画版のアレンジ・オーケストレーション/音楽監督のクインシー・ジョーンズが抜群の手腕を発揮、アレンジはすばらしいです。

♪こーき

by kokimix | 2005-07-02 12:25 | ミュージカル

Dreamgirls映画版、キャスト一部決定!

この作品に出会って、僕の音楽観は変わりました。
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ストーリーは一応<ダイアナ・ロス&シュープリームスをモデルとした女性コーラスグループが辿る栄光と挫折の物語>ですが、本当はシュープリームスの話とはあまり関係なく、歌は上手いけどデブで醜い女の子がグループから首になるけど、やがて歌手として世間で認められ、大成すると言うサクセスストーリー的な話になりました。

一幕のラストで歌われるAnd I am telling you I'm not goingはシングカットもされ、大ヒットした曲です。これをたまぁーにステージで歌う機会がありますが、なかなか弾いてくれるピアニストが見つかりません。はっきり言ってとても難しいそうです。オリジナルキャストのジェニファー・ホリディが舞台で歌っているのをVTRで見ましたが、どうしても指揮者と呼吸が合いません。それくらい難しい曲なのでしょう。ですがこの曲を歌うとき、森田の心は震えます。

2幕の中盤で、主人公のエフィーが劇中でソロデビュー曲として歌うI am changingも名曲です。デビュー当時のホイットニー・ヒューストンが、まだ持ち歌が少ない頃にこの曲を歌っていたみたいです。どちらもスケールの大きな大曲で、歌い手の技量が問われます。

昔横浜はマイカル本牧にあった<アポロシアター>(NYのハーレムにある劇場で、パフォーマーに厳しいことで有名)のアマチュア・ナイト(素人参加の喉自慢)に出場したことがありました。そこで無謀にも、この曲And I am telling you...を歌い、一応かなりの拍手をもらって、BOOをされずに審査を通過したのですが、優勝は出来ませんでした。ん~懐かしい…

2006年に映画化されるという話で、どうなっちゃうんだろうと不安も過りましたが、グループのリーダーになるディーナ役にビヨンセ(客を呼ばなきゃね)、そのグループの敏腕マネージャー、カーティスにアカデミー賞主演男優賞受賞のジェイミー・フォックス、主人公エフィーの弟
CCに人気歌手アッシャーという布陣で(今の所エフィー役の発表はまだないみたい)発表がありました。なんだかお金はかかっているみたいです。エディ・マーフィーの名前も挙がっているみたいだけど…

アメリカは広いから、もしかしたら探せばすぐジェニファーのようなスーパーな歌手が、見つかるのかもしれないけど、出来ればいろいろ<大事に>して欲しいと言うのが正直な所です。
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♪こーき

by kokimix | 2005-06-30 23:07 | ミュージカル

蜘蛛女って??

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「蜘蛛女っていったい誰のことを指してるんだろう?」最初映画版{ウィリアム・ハート(アカデミー賞受賞)ラウル・ジュリア、ソニア・ブラガ}を観た時にそう思いました。

蜘蛛女はモリーナのイメージの中にしかおらず、実在しないので現実の登場人物の中に、他にそれに相当するキャラクターを探そうとしたのですが、見つかりません。かなり観念的な問題です。

マルタ?(ヴァレンティンの恋人)…違いますね。恋人だと思っていたのはヴァレンティンだけなのですから。彼女もまた、幻想の中に生きている。ちなみに、モリーナが一幕後半で歌うShe's a womanのsheとはマルタを指しています。最初はオーロラのことなのかと思っていたのですが、演出家からマルタのことだと解説がありました。

まさかモリーナのママ?…それも考えにくいですね。モリーナの性格だったら、<ママのために>生きようとするから。

…ってことは?刑務所長?まさかそんな短絡的なことはないでしょう。

一緒に映画を見ていたカナダ人の友人が「官房でヴァレンティンにキスしたときが、死へのキスなんだよね。ってことは、ヴァレンティンが蜘蛛女の役割なんじゃないかなぁ。」へ??新解釈…

なるほど確かに、ヴァレンティンにキスしたことによって、モリーナはママを捨ててまで任務に向かったわけだから…一応筋は通ってる。

言わば、二人がキスしてしまったこと(ヴァレンティンは最初積極的にモリーナにキスしなかったが)によって、双方に死への可能性が生まれてしまったと言うことでしょうか。う~ん。

いずれにしても、モリーナの中でヴァレンティンが優先順位のトップに来てしまったわけで、それは現実のものであってオーロラのような幻想ではない。この作品のクールでシニカルな所が、ブロードウェイらしくなくて好きなのです。





♪こーき

by kokimix | 2005-06-30 11:02 | ミュージカル

蜘蛛女とトートの違い

この二人(?)を比べてどうするって感じもありますが、僕が思うに…

トート(「エリザベート」に登場する死神、基本的に男でも女でもない)は、いつも標的(死にそうな人間)を求めて彷徨っていた筈なのに、なぜかふとめぐり会った運命の人:エリザベートに恋をして、彼女の運命を見守りながら、やがて結ばれる…って書くと、すっごくロマンチックでヤな感じ。

対する蜘蛛女は、キスをした相手の誰もが死に追いやられると言う正に死神そのもの。基本的に感情はない。あるとすれば、相手を取り込んで、死に誘う欲望だけ。

だから、エリザベートのトートは演じる役者によって、ものすごく解釈が違う。僕は個人的に宝塚のバージョンの方が好きです。(東宝ファンのかた、ごめんなさい)
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それは、ルドルフとのシーンに一番顕著に現れるとおもうのですが、ルドルフが自殺を図る時、トートは彼を誘います。誘うと言うのは勿論<死>に誘うと言うことなんですけれど、それは同時に男でも女でもない<死>が、自分の欲求を満たさんがために(誰かが死なないと存在価値がなくなるから)、誰でもいいから無差別に死に誘うというのが僕の解釈です。どちらかと言うと、トートの欲求は性欲に近い。あるいは食欲かな。この欲求の出方(例えばトートが歌の最後にルドルフに口付ける所とか)が、男のト-トだと生々しくなってしまうような気がするのです。ここは少女マンガの世界の、言ってみたら竹宮恵子の漫画のような…古い?

蜘蛛女はもっとクールで、自分の感情よりものごとの都合が優先するように見えます。どちらかと言うと、もっとサディスティックでグロテスク。狙った相手が苦しんで苦しんで、死ぬその瞬間まで待って、それでやっとキスをする感覚と言ったらいいでしょうか。

両者の違いは、死を猶予するシーンにおいても違います。エリザベートは、お互いに死と言う結果を必要としているのに、エリザベートのわがままやトートのわがままで死が猶予されてしまう。でも蜘蛛女は、台本どおり読むと「死なせずに、生かせて(太らせて)楽しむ」といった残酷さが見て取れます。トートの方が情緒的なんですかね。

あくまでもこれは森田の解釈で、他の解釈をお持ちの方はどうぞお知らせください。



♪こーき

by kokimix | 2005-06-28 21:46 | ミュージカル

蜘蛛女のキスのセット

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今考えると、皆良くやってたなぁと思うくらいのセットでした。

基本的には、舞台センターで前と奥に動くモリーナとヴァレンティンが暮らす監房があり、袖から3列の鉄格子とそれとは別個に動くことの出来る黒幕(それに隠れて登場人物が出入りできる)、一番舞台の客席側に重さ何トンかある巨大な鉄格子の緞帳、それを覆い隠す本黒幕(これが実際は緞帳になります)という、書くとほんの少しのような気がしますが、全部にそれぞれ薄いスクリーンが張ってあって、映像を投影できる仕掛けになっています。

全ての鉄格子は本物の金属で出来ていて、大変重く、簡単にはバラしたり組み立てたりできない代物でした。(そのために予定されていた地方公演を断念したと聞いています)一番奥の鉄格子を全部閉めて、その後ろでワイヤーに吊られた蜘蛛女がモリーナの幻想に登場すると言うシーンでは、麻実れいさんが体にぴったりした蜘蛛女スーツを着て、熱演なさっていました。

他にも、アンサンブルのうちの何人かがJAC(千葉真一さんの事務所で、スタント・アクションなどが得意ア人が多いことで有名。真田広之、堤真一、伊原剛史などを輩出)だったので、ダンスといい、スタントといい、身体をはったアクションが見物でした。

あるアンサンブルの役者が、一番手前の鉄格子の裏を脱獄するために登り、最後に当局に撃ち殺されると言うシーンで、本当は鉄格子にあらかじめ用意してあるワイヤーを手首の所に付け、撃たれた後、あたかも鉄格子にぶら下げられたような効果を狙うシーンがありました。必ずブロードウェイでは、ワイヤーを付けることが条件だったのです(と言うのも、暗転になった後、その役者はビルの3階くらいの高さのところから降りてこなくてはならないので)。そころが、その僕らの仲間は「こんなの大した高さじゃありませんよ。これぐらいだった何度も飛び降りたことあるし。」とは言っても、真っ暗な中、下に何のクッションもないまま飛んでもらうわけにも行かず、彼は渋々ワイヤーをつけることになったのでした。

全ての鉄格子と黒幕はコンピューターで制御されていました。(これも地方公演にいけなかった理由のひとつです)そのためのオペレーターも外国人の方がいらして担当していました。ある時、舞台稽古の最中に、僕が舞台上でボーッとしていると、後ろから「ドンッ」と僕の背中を押す人がいます。「なんなのぉ?」と後ろを振り向くと、自動で動く黒幕が<そこをどけとばかりに>僕の背中を押していたのでした。

もしかして…これって、H.M.さんがミス・サイゴンで被った事故と同じ?そう思うと、背筋が寒くなる思いで、一層身辺に気をつけようと心に誓いました。





♪こーき

by kokimix | 2005-06-27 21:59 | ミュージカル

岩谷時子先生

どなたかがレ・ミゼラブルの一節”Drink with me to days gone by”を「過ぎた日に乾杯」と訳したのを聞いて、天才と思ったと仰っていました。本当にこの訳詞を担当した岩谷時子先生は、ただのおばあちゃんではないのです。

過去には、勿論越路吹雪さんの名プロデューサー/作詞家として評価されていますが、他にも加山雄三さんのヒット曲の作詞を手がけるなど、意外な歴史もお持ちです。

僕はレ・ミゼラブル、スクルージ、蜘蛛女のキスの3作品でご一緒させていただきました。中でも蜘蛛女のキスでは大変思い出深いことがありました。稽古が始まる前から、僕の師匠の事務所に師匠北川潤氏、垣ヶ原美枝氏、そして岩谷先生の三人が集まり、日本語詞の最終チェックをしているのを目撃する機会がありました。
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そこで、先生が出してきた蜘蛛女のナンバー「とばりは震え、暖炉の火はシュッ」と言う部分で、一同うなってしまいました。「シュッ」と言うのは擬音として残したのですが、(この歌には沢山Sという音で恐怖をあおる効果がありました)なんと言っても、「とばりは震え」です。「とばり」は日本語のカーテンに当たる言葉ですが、その「とばり」を「夜のとばり」と引っ掛けて「震え」させちゃうあたりは、本当に詩人だと思います。(原詞:And the curtains will shake and the fire will hiss)

僕のソロパート:ガブリエルの手紙の最後で、ガブリエルが手紙を締めくくる言葉としてYour friend, Gabrielと歌って終わるのですが、これをどうしようか結構来日演出サイドと日本側スタッフとでもめました。勿論演出側スタッフは英語でやったらいいと言うし、日本側は「急にそこだけ英語になるのはどうも…」と言うことで、最初「とも、ガブリエル」とするということになりました。

ですが、歌ってみると…なんだか「とも」は「ほも」ととられかねないなぁというのが正直な第一印象でした。。それは日本語のアクセントの問題なのですが、トモ(友)はトが高くて、モが低いのに対し、メロディーは同じ音程が2拍続きます。(すなわち平板アクセント)ホモも一般にはホが高くてモが低いアクセントなのですが、作品のテーマがテーマなもので、もし聴いている人にそういう風にとられると、ガブリエルに「その気が有ったこと」になりはしないかと心配したのです。それではストーリーが変わってしまいます。

何日が過ぎた後に、岩谷先生が少女のような瞳をして、美枝さんと一緒に僕に「おいでおいで」をしています。「なんですか?」と行って見ると、「良いのを見つけたワ」とホクホク顔。

答えは「では」でした。なるほど!直訳でもなく、外れすぎてもいない、たった二文字なのに…う~ん、やっぱり詩人だぁ、と時間させられる出来事でした。




♪こーき

by kokimix | 2005-06-25 11:39 | ミュージカル