飛んだ!ひ・こーき!@森田浩貴の思うまま


アッという間に50なっちゃった( "゚ o゚")ドーシヨ
by kokimix
カテゴリ
【あんた、誰?】
東京都内で歌い手(専門はミュージカル)を営んでいる50前男です。時々司会・通訳もします(^^)
11月20日金曜日中目黒楽屋でライブを行います!みなさま良くご存じのスタンダードばかりを集めたプログラムです。バイオリンも共演!美味しいお料理で評判のお店に、ぜひお越し下さい!!
ブログパーツ
以前の記事
その他のジャンル

ありえない事故

品川の天王洲にあるアートスフィアという劇場は、とてもいいサイズ(777席)で、天井が高いので音響もよく、使い勝手のいい劇場なのですが、いろいろ短所もありまして…まず、交通の便がさほどよろしくない。今は東京臨海高速鉄道りんかい線というのが通っていますが、その頃はモノレールしかなく、品川からも20分近く歩かなくてはならない為(もちろん今の品川駅のように開発される前でした)、思いがけず<モノレールの定期>を買う羽目になりました。
ありえない事故_d0053041_17203153.jpg

また、これは劇場のせいではないのですが、「香港ラプソディー」のセットは少しだけレ・ミゼラブルのセットに似ていて、上下両側から手動で大きな3階建てのワゴンが出入りし、上には完全に格納可能なエレベーター、舞台奥からは戦車が出てくるという大掛かりなものでした。

開演前に完全暗転(非常灯も消す)になるため、遅れてきた方は最初のシーンが終わってから席に付くことが出来るようになるという段取りで初日を迎えました。

僕達天安門の前で座り込みをしている学生の役者たちは、舞台上にテントを張り、戦車/軍隊が攻めてきたら、撃たれて退場することになっていました。僕はその時パートナーだったD.K.嬢と二人で撃たれて、その後舞台上のトラップドア(舞台の一部が下方に開いて、降りられる)から、奈落に退場するという段取りでした。トラップドアのしたには怪我をしないようniマットが敷いてあって、ドアは袖にいるスタッフがころあいを見計らって(舞台上のスペースが確保されて、暗くなったら明かりによる合図がある)開けてくれるという万全の体制でした。

さて初日、稽古指摘通りD.K.嬢と僕は軍隊に撃たれて絶命、その場に倒れていたのですが、なぜか下のトラップドアが開きません。「あれ?どうしよう…もうすぐ音楽のキューが来ちゃうのに…」僕達が退場しないと上下の大きなセットが出てこられません。困った僕達は、互いに小声で「そろそろ?今?」とか言いながらタイミングを見計らい、暗くなったと思った瞬間に「行こう!」と退場しました。…これが、ケチの付け始めです。

その後、数年後の香港のシーンになります。シーン転換のために紗幕が降りて来ます。紗幕が下りてくるのと同時に上下のセットも舞台上に出てきます。僕達も急いで着替えてそのシーンには出ていました。僕は奈落から別の衣装で登場し、下手のワゴンを3階まで上がって、上手のワゴンに乗り移るという約束なっていました。

<あれ?紗幕が上がってない…>紗幕が上がらないと、ワゴンが両側に開けないので、その後必要なエレベーターが降りて来られません。でも、音楽は待ってくれないので、皆どんどん先へ進んでいくしかありません。歩きながら注意深く見ると、どうやら紗幕の一部がワゴンに引っかかっているようです。

…待ってください。そのエレベーターには、開演前からB.I.さんがスタンバイしていて、そのエレベーターから降りてくるというすばらしい趣向が用意されていたのです。でも、音楽どおり彼のフレーズが来て、彼は仕方がないのでエレベーター内(まだ舞台に現れていない)で歌っていました。声はすれども姿は見えず…

スタッフの怒号が聞こえます。あ、無理やり紗幕を上げたため、セットに引っかかって破れてしまいました。さすがに何もかも音楽からズレてしまった時に、皆の注目が指揮者に集まりました。やがて、音楽が止まりました。

そのうち、演出の宮本亜門さんが舞台上に上がって、これまでの不手際を詫びた後、「もう一度最初から演じ直し」ということで、なんとか事態を収拾しました。

後でこの原因を突き止めたのですが、なんと劇場の気密性があまりに良く、最初のシーンが終わった後に遅れた方達を入れるために劇場のドアを一斉に開けたら、風が吹いてしまった言うのです。そして、その風に紗幕が煽られて、わごんに引っかかってしまったというのが真相だったようです。

後にも先にも、あんなことは初めての経験でした。生だからいろいろあります。




♪こーき

by kokimix | 2005-06-22 17:22 | ミュージカル
<< 宮本亜門さんに言われたこと 香港ラプソディー >>